NPO法人 オーガニックコミュニティ静岡
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お知らせ 有機という事

2026/07/08
有機という事
  • 有機という事

有機という事 皆さんは有機野菜についてどの様なイメージを持っておられるだろうか。まあ大抵、有機イコール無農薬、安全、おいしいというあたりが普通かと思います。農薬については法律で使用基準がしっかりと決められていて、農家はそれをきっちりと守って、それは安全と国も認めて、それで流通しているのですが、それでも虫が死ぬのだからと不安になる方々が、愛する家族の為に農薬を使っていない野菜を求めるのでしょうね。私も「無農薬」を前面に出してずっとやってきました。 無農薬を謳っているものに工場野菜があります。無農薬で安全、軟らかで新鮮、すぐ食べられる、更に最近は味も栄養も季節も量も思いのままらしい。これは素晴らしい。農薬の害が心配な人はすぐさま工場野菜を食べればいい。うちのレタスはたまに虫がいるのですから、食べている時に虫が出てきたら、気持ち悪いですよね。そんな心配もありません。 でも有機野菜にもいいところはあるのです。有機野菜と工場野菜の違いはいったい何でしょう。有機には育てた人の愛情がこもっているとか工場野菜はエネルギーのムダ使いだとかいろいろありますが、根本的に違うのは食べもの、生きものに対する世界観、の違いなのではないかと思います。 最近よく聞く言葉に生物多様性という言葉があります。有機は農薬を使わないから生物の多様性を守っているのだ、あるいは生物多様性に支えられて有機農業が成立しているのだというふうにです。これも少し掘り下げてみたいと思います。例えばレタス。レタスの種が苗床で発芽する、幼根が出るとすぐに土壌菌が根にとりつく。共生菌だったり病原菌だったり。そういう菌や畑のいろいろな生き物とやりとりしながらレタスは大きくなる。根だけではなく葉っぱの上にも内にもその土地の微生物がとりついてそれでレタスになる。レタスの健康は根を誘った土の健康で決まる。たまに虫がかじる。虫の体はレタスでできている。レタスの葉面微生物はそのうち虫の腸内細菌になる。たまに虫に寄生バチが卵を産む。寄生バチの幼虫はアオムシを食べながらやがて巣立つ。体長数ミリの寄生バチにも腸内細菌はいて、そのもとはアオムシからきている。寄生バチの体をつくったのはアオムシだし、アオムシの体をつくったのはレタス。レタスをつくったのは根を誘った畑の土。土の中にはミミズがいて、ミミズが肥えた土をつくる。いや本当はミミズの腸内細菌が仕事をしているのだ。 ヒトもそうだ。ひとつの卵細胞が増えて増えて37兆個になるというが、それ以上の微生物が、おなかの中は勿論、体中至る所にいて、その数は37兆個より余程多いのだという。あなたはあなたひとりの体ではないのだよ、というのは愛する人に向けての口説き文句だが、その通り自分の中に他者がいる。それも含めて自分なのだ。動物も、虫ケラも。いや植物、その辺に生えている雑草だって生きとし生ける者は皆、何かと共に生きている。内にも外にも、何かと共に、誰かと共に、ごちゃごちゃと生きている。これまでも、これからも。生物多様性とはこういう事。世の中は、生きものはこうやってできているのです。 病院の集中治療室の様な清潔な環境で育てられた無農薬野菜、安全安心で愛する家族の為にそれを選ぶのは、それはそれで尊い。でも、というかさらに、というか、畑で無農薬を支えている向こう側の世界にも思いを馳せていただけたらと思います。 2026.7. 石上農園